交通事故によって怪我をしてしまった場合は,とにかく身体を治すことを一番に考えてください。
仕事が忙しい等の事情で通院の間隔が何週間も空いてしまったり,通院回数が極端に少ないと,相手方保険会社から通院の必要性がないとして早期に治療費の支払いを打ち切られたり,最終的に低額な示談金額しか得られなくなるという不利益を被ることがあります。
症状が続く場合には,定期的かつ継続的に通院するようご注意ください。
6か月程度通院を継続すると,頸椎捻挫などの比較的軽微な症状は,事故直後に比べて一定程度軽減されることが一般的です。
そして,ある程度の状態まで良くなったものの,痛みや痺れが未だ継続していて,これ以上治療を継続してもあまり効果がない状態になったことを「症状固定」といいます。
症状固定になると,原則として治療は終了しますので,賠償の範囲が確定します。他方,症状固定日以降の治療費は自己負担となり,以後の休業損害,通院慰謝料などを相手方から支払ってもらうことができなくなります。
症状固定の段階で依然として痛みや痺れ等の症状が残っている場合,当該症状が「後遺障害」に該当するかどうか,該当するとしてどの等級に該当するのかを自賠責保険に申請して,認定してもらう必要があります。
障害の内容や程度により1級から14級までの後遺障害等級表が定められており,この等級表に基づいて等級が認定されます。等級によって慰謝料の金額や労働能力喪失率が決まっており,相手方から支払われる金額が変わってくることになるため,どの等級と認定されるかは,示談交渉を進める上で非常に重要です。
症状固定前の損害としては,治療費,通院交通費,休業損害,通院慰謝料等が挙げられます。
症状固定後,後遺障害等級が認定された場合には,後遺障害慰謝料と,後遺障害がなければ得られたであろう逸失利益等が損害として認められます。後遺障害が重篤な場合は,家の改装費や将来の介護費等が認められることもあります。
後遺障害等級の認定手続を経て損害額が確定すると,相手方保険会社に損害賠償請求を行います。
交渉によって金額に折り合いがつけば,示談成立です。
双方の主張に開きがあり,示談が成立する見込みがない場合には,裁判所に損害賠償請求訴訟や損害賠償請求調停を提起して,解決を図ることになります。