預貯金の場合は,銀行名,支店名,預金の種類,口座番号を明記することが望ましいです。「私の全財産」等という書き方の場合,相続人が被相続人の遺産を全て把握できなければ,遺産に漏れが生じるおそれがあります。
また,不動産の場合も,登記簿の記載どおりに記しておくことが望ましいです。
相続人間で争うことのないよう,遺言を作成した時点で判明している全ての財産の分割方法について指定しておくことをお勧めします。
ただ,不動産だけは相続人の1人に取得させたいという希望があり,その他は法定相続分にしたがった分割で構わないといった場合は,特定の財産の分割方法だけ指定して,それ以外の財産については法定相続分にしたがって分割するよう指定しても構いません。また,指定のない残りの財産については全て配偶者等相続人の1人に取得させる,という遺言でもいいでしょう。
遺産の分割方法を指定するにあたっては,各相続人の遺留分を侵害しないよう注意が必要です。
指定した分割方法によれば遺留分が侵害されてしまう場合,当該相続人から他の相続人に対して遺留分減殺請求を行うことが予想されるため,結局争いが引き起こされてしまいます。
被相続人に借金等の債務がある場合,その債務を誰が負担するのかも記載しておいた方がいいでしょう。記載がない場合には,債務は原則として相続分に応じて分割して各相続人に相続されます。
せっかく遺言書を作成しても,遺言書の記載内容どおりに遺産が分割されないのでは意味がありません。
遺言の内容をきちんと実現させるため,遺言の中で遺言執行者を指定しておくことをお勧めします。